序曲集


モーツァルト:序曲集


『新鮮な火花の缶詰』
モーツァルトのオペラは、滅多なことじゃ楽しめない気むずかしやになってしまった人間をも楽しませる。それはこの「天才」を構成する影の主役である「職人魂」のなせる業だ。彼はこう言っている。「何よりもまず、音楽でなければなりません。」つまり彼は、どんな深遠な真理を表現するときにも「愉悦」が漂ってなければならないと感じたのだ。従って彼は自己表現する際、精神にリズムとハーモニーを教え込まねばならなかった。この「自己規律」を必然と感じさせたが故に、彼は音楽を愛し、音楽もまた彼を愛した。それゆえに「我々はモーツァルトを愛す。」

オペラの序曲集には彼の音楽全体の入門という意図があるのかもしれない。僕自身、このCDでアーノンクール指揮モーツァルトの良さを知った。ヘッドフォンで聴いていたところ、頭の中で火花がはぜるような瞬間が二、三度あったのだ。音楽が意識に高揚をもたらすのは知っているが、新鮮さをもたらすこともある、というのはその時はっきりした。

フィガロ序曲の落ち着き振りは思わず微笑みたくなるほどだ。この曲の最後の「これでもか、これでもか」と畳み掛けてくる部分は聴く者に至上の勇気を与える。僕の知る限り、この曲はモーツァルトの業績の中でも最高の成果だろう。「頭を上げろ」真の芸術家のメッセージにはすべてこれが含まれるのだが、ここまで執拗に説得されると、誰しも「そうかな」という気になる。モーツァルトの理想主義は、どんな頑固な敗北主義をも溶きほぐしてくれる。


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